同じ朝に、フランス語での掲載について二つの見積もりが届いたとします。一つ目は900ユーロ(税抜)、二つ目は1,100ユーロ(税抜)です。一つ目が安く見えますが、続く行を読むと、支給原稿の調整が200ユーロ(税抜)、追加配信が150ユーロ(税抜)と書かれています。合計は1,250ユーロ(税抜)になり、これら三つをすでに含んでいた二つ目より150ユーロ(税抜)高くなります。

この記事に、市場を代表するとされる金額の幅を載せないのはそのためです。平均値には、掲載のみの案件、執筆つきの案件、配信つきの案件が混ざります。購入するものが違えば、並べて比べることはできません。本文のAとBの金額はすべて架空で、計算の流れを示すためのものです。市場の料金でも、ranksourceの料金でもありません。読み終えたときに手元に残るのは、比較の手順、予算表の設計、そして署名の前に決めておく問いです。

費用を動かす四つの要素

一つ目は読者層と切り口です。総合媒体、業界専門の媒体、地域の媒体では、読者が異なります。発表型、事例型、専門知識を掘り下げる型といった切り口によって、編集側の作業量も変わります。見積もりを依頼する前に、届けたい読者と、その人に持ち帰ってほしい内容を言葉にしておいてください。形式そのものを確認したい場合は、スポンサード記事のページで、この掲載が何を指すかを説明しています。

二つ目は、原稿をどこが用意するかです。貴社が掲載できる状態で支給する場合、既存の資料をもとに調整してもらう場合、媒体の編集部にすべて任せる場合があります。この三つは、必要な時間も請求のされ方も異なります。見積もりに「執筆」の行がないからといって、含まれているとは限りません。

三つ目は画像の権利です。画像は、貴社が支給する場合、制作する場合、素材から選ぶ場合があります。いずれも、権利を持つのは誰か、期間はいつまでか、どの媒体で使えるかを確認してください。オンライン記事に使える画像が、メールマガジンや営業資料にも使えるとは限りません。

四つ目は掲載面での露出と期間です。トップページでの表示、メールマガジンでの紹介、ソーシャルでの共有、記事の掲載期間などがこれにあたります。どこまでが掲載に含まれ、どこからが追加配信にあたるのかを分け、期間と価格も書き出してください。「配信込み」とだけ書かれた見積もりは、中身を埋める必要がある見積もりです。

二つの見積もりを分解して比較可能にする

AとBを同じ範囲にそろえる

架空の例に戻ります。提案Aは、掲載が900ユーロ(税抜)、原稿の調整が200ユーロ(税抜)、希望する追加配信が150ユーロ(税抜)で、合計は1,250ユーロ(税抜)です。提案Bは1,100ユーロ(税抜)で、同じ範囲のこの三つを含んでいます。

差額は150ユーロ(税抜)で、Bが有利です。ただし、この結論が成り立つのはこの想定の中だけです。編集の質や、各媒体が貴社の対象読者に合うかどうかは、この計算からは分かりません。分かるのは、同じものを買う場合にどちらが安いか、という点だけです。

逆の落とし穴もあります。Bに調整も配信も含まれていなければ、それらの価格が届くまで総額は不明です。どちらの場合も、やることは同じです。全提案に同じ行を用意し、見積もりが何も述べていない箇所には「要確認」と書いてください。

そのオプションが読者の問いに応えるかを判断する

オプションに価値があるのは、読者が探している情報に応えるときだけです。150ユーロ(税抜)の追加配信を例にします。検索で情報を集めている購買担当者を説得したいなら、メールマガジンが関連性のある別の読者層に届くのでなければ、費用に見合いません。その担当者がふだんからそのメールマガジンを読んでいるなら、むしろ有効な接点になります。

次の順で考えてみてください。読者はその時点でどんな情報を必要としていて、どの施策がそこへの道をつくるのか。オプションを切り離せるなら、両方の比較から外します。掲載と一体で切り離せないなら、その旨を表に書き留めてください。その場合は、組み合わせ同士を比べることになり、判断の対象は実際に購入できる提案になります。

リンク、通貨、計測で予算が約束してはならないこと

リンクの扱いについて、Google Search Centralは、商業的な関係で得たリンクにはsponsored(推奨)またはnofollowで示すよう案内しています(発リンクの属性づけに関するドキュメント)。ここから導ける予算上の帰結は、私たちの見方としてこうなります。属性を付けたリンクに「順位向上」の費用行を立てる根拠はありません。予算の根拠は、得られる露出と編集上の文脈に置き、順位は約束しないでください。

計測については、Google Analyticsのドキュメントが、UTMパラメータを訪問の流入元とキャンペーンを識別する手段として説明しています。記事を読んだすべての人を拾えるわけではなく、そのキャンペーンがなければ生まれなかった訪問を示すものでもありません。命名ルールは、掲載後ではなく掲載前に、計測担当者と決めておいてください。

通貨については、税抜価格と元の通貨を必ず記載してください。国をまたぐ施策では、予測に採用した換算日も加えます。元の金額と、予算の通貨に直した金額を並べて残せば、為替の変動と媒体側の価格変更を区別できます。

予算資料を列ごとに設計する

一つの提案を一行とする表を用意します。次の列があれば、決裁者は提案同士を見比べ、未確認の金額を見つけられます。

  • 媒体と形式:媒体名と掲載の種類です。同等のものを比べているかを確かめます。
  • 掲載の税抜価格:オプションを除いた金額を、元の通貨で記入します。
  • 執筆または調整:誰が書くのか、どの資料を使うのか、税抜の金額か、提案書で裏づけられた「含む」の記載かを書きます。
  • 修正:回数、範囲、切り口を変える場合の扱いです。
  • 画像と権利:支給、制作、含むのいずれかと、対象期間、対象媒体です。
  • 露出と期間:チャネル、期間、各配信の税抜価格、記事の掲載期間です。
  • 比較可能な合計:採用する内容の合計を、全提案で同じ範囲にそろえて計算します。
  • 根拠:各回答を裏づける提案書ややり取りです。都合のよい推測と書面上の約束を取り違えないために保管します。
説明図:同一範囲で比較する
架空の金額

代理店の方は、コンサルティング、調整、報告の行を別に立ててください。掲載の費用と支援業務の費用は、対象範囲が異なります。顧客は、承認する内容を一行ずつ理解できなければなりません。複数の提案とその条件を一か所に集めたいときは、ranksourceの機能で媒体の提案と条件を比較できます。ただし、最終的な予算の基準は、発注時に表示される金額です。

最終の計算と決めておく問い

施策の予算は、次のように書けます。採用した掲載と業務の合計に、合意した支援費用を足し、さらに、認めた変更に備える予備費を足します。予備費は、表で見つけた不確実性に応じて決めるものです。万能の割合は当てはめません。

掲載費用は、すでに分かっている支出です。閲覧数、訪問数、商談の問い合わせは、特別な約束が文書化されていない限り、これから測る成果です。シナリオを準備するには、予算を複数の仮定の訪問数で割ります。1,200ユーロ(税抜)なら、100訪問で1訪問あたり12ユーロ(税抜)、300訪問で4ユーロ(税抜)です。この割り算が示すのは、費用の感応度だけで、訪問数を予測するものではありません。

発注の前に、支出を変えうる判断を書面で決めておいてください。

  1. 代替媒体、言語版の追加、日程の変更を、誰が承認しますか。
  2. いくらを超えたら、再承認が必要ですか。
  3. 承認されるまで、確定した合計に入れないオプションはどれですか。
  4. 有望な問い合わせをどう定義し、どの売上を成果として帰属させますか。

これらに答えがあれば、後から差異が出ても、文書に残した判断、範囲の変更、実現しなかった成果の仮定のいずれかとして説明できます。

まずは気になる二つの提案を選び、上の列を埋めてみてください。見積もりが何も述べていない箇所には、「要確認」と書きます。提案の候補は、メディアカタログから各媒体の詳細ページを開き、税抜価格を同じ範囲で見比べることから始められます。